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〜シード期で数億調達は当たり前〜 ICO の資本政策

Yu Yamanaka

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〜シード期で数億調達は当たり前〜

ICO の資本政策

CTO of Starbase

Yu Yamanaka

Sep 7th, 2017, at ProtoStar salon #2

注意!

本資料に記載されている ICO はすべて日本国外の会社によって行われたものであり、同様の施策で日本国で ICO が可能であることを保証するものでは有りません。

もし日本で ICO を行いたい場合は、日本の官公庁や然るべき弁護士の指導のもと、その施策が合法であることを確認の上検討を進めて下さい。

この講演を聞くと?

  1. なぜプロダクトも無いシード期のチームが ICO で数億円以上の資金を調達出来ているか分かる
  2. 自社で ICO を行いたい場合、その資本政策を作る足がかりとなる
  3. ICO を行うことによるリスクについて学べる

About me

Full-stack Developer / 起業家 / 暗号通貨投資家

Programmer

& DevOps Engineer

2007

2017

CTO

Co-founder

Full-stack Engineer

& Agile PM

Infrastructure Architect

  • エンジニア歴10年。中小〜大企業向けクラウドセキュリティシステム、及び一般消費者向け Web システムの開発/運用等に携わる
     
  • 大規模かつ急速に拡大するクラウドサービスを運用 (800台超のサーバ、月間アクティブユーザ数1500万以上のメディア運営)
     
  • 2016年10月にブロックチェーン業界に参戦

Starbase

"Skyrocket your idea"

暗号通貨の Kickstarter

トークンによる資金調達が当たり前になる社会を目指して

2017年9月に Crowdsale / ICO 予定

Starbase

Team

本編

2017年3月

とある経済圏で異変が発生

アルトコインバブル

(40倍の規模に)

3月

Bitcoin を除く暗号通貨の市場総額

米国での Bitcoin ETF 否決をきっかけとし、アルトコインへの期待が増加。 Ethereum の価格が一時10倍に

多くの Ethereum 長者が誕生。

膨れ上がった資産(Ether)の再投資先として

ICO に資金が流れこんだ

Ethereum Blockchain

ICO

ICO

ICO

2017年9月時点の世界の ICO の実績 (by CoinSchedule)

件数: 183件

総調達額: 約2100億円

殆どが

チームとアイデアのみ

のシード期の調達

個々の ICO の調達額 (2017年)

2017年の137件中

100件以上が

1億円以上を調達

彼らはどのような戦略でそれだけの資本を獲得したのか?

本日のメイントピック

世界の事例から学ぶ

ICO の資本政策

  1. ICO の基礎知識
  2. 事例から学ぶ ICO の資金調達
  3. 成功を妨げる ICO のリスク

1. ICO の基礎知識

"ICO" とは?

伝統的な IPO = 株式上場

Initial Coin Offering = 

私設の暗号通貨取引所への上場

"BIG" IDEA

(起業家)

PR & Crowdsale

スマートコントラクト,  事業計画書(Whitepaper),  Webサイト, プロトタイプ等を作る

チームメンバー、アドバイザー、初期の活動資金集め

ICO のプロセス (半年~1年)

Crowdsale (Token Sale)

暗号通貨による

クラウドファインディング

  • プロジェクトチームが上場前に自身が発行したトークンを公開販売し、世界中から暗号通貨建てで資金を調達するセールイベント
  • トークンの上場後に市場で売り買い出来る
  • 基本的に販売上限と期間がある (人気のあるセールは一瞬で売り切れ)

(これが ICO と呼ばれることもある)

"BIG" IDEA

(起業家)

ICO

市場取引

調達した資金でプロダクトの開発

PR & Crowdsale

Smart Contract,  事業計画書(Whitepaper),  Webサイト, プロトタイプ等を作る

チームメンバー、アドバイザー、初期の活動資金集め

ICO のプロセス (半年~1年半)

プロダクト開発

ローンチ&市場シェア拡大

IPO

IPO を狙う従来のプロセス

ICO

プロダクト開発

ローンチ&市場シェア拡大

ICO は上場してからビジネスの拡大!

トークンの設計によっては、

IPO を目指すインセンティブがなくなる

Token とは?

Token

Crypto-Currency

  • トークンは暗号通貨であり、他の通貨と同じようにトレード可能
  • プロジェクトによって独自の権利を持つ暗号通貨
    (例. 将来の売上の一部を配分)

上場前

投資家

Smart Contract

カンパニー

上場後

投資家

Smart Contract

暗号通貨取引所

直接取引

市場取引

お金とトークンの流れ

創業メンバー

(ロックアップ)

Smart Contract

ICO においては下記のような機能がされています。

  • トークンを新規発行する
  • トークンの総発行量などのルールを管理する
    (デジタル定款的な)
  • トークンの保有者を管理する (株主名簿的な)
  • 保有者間のトークンの移転を行う
    (上場後の売買、報酬として人に与えるなど)
  • トークンのロックアップやべスティングなど

コードで記述した契約条件を自動執行するプログラム

ブロックチェーンの不可逆性により

一度定義した契約条件は変更出来ない = 資本政策も不可逆

2. 事例から学ぶ ICO の資金調達

SingularDTV

  • 調達時期: 2016年10月
  • ICO 調達額: 17分で8億円完売
  • 内容: テレビ番組作成、オンデマンド配信プラットフォーム、著作権管理プラットフォーム等
  • トークンの価値: プロジェクトの売上の配当

SingularDTV - Token Allocation

  • すべての売上をトークン保持者に配分
  • 売上の再投資のためカンパニーが4割トークンを保有
  • インカムゲインで価値を担保する、比較的株式に近い設計
  • トークンはストックオプション代わりに従業員に付与可

プロジェクトの売上

MobileGo

  • 調達時期: 2017年6月
  • ICO 調達額: 30日で58億円
  • 内容: モバイルゲームプラットフォーム
  • トークンの価値: ゲーム購入時のディスカウント、その他ベータテスト参加権等の特典

MobileGo - Token Allocation

  • 将来の資金確保のため、カンパニーが3割トークンを保有
  • プラットフォームの人気が増してユーザが遊びたいゲーム増えるほどトークンの価値が増す仕組み
  • ゲームをしない人もキャピタルゲインによる利益を狙うことが出来る

OmiseGo

  • 調達時期: 2017年7月
  • ICO 調達額: 承認制の事前販売のみで27億円売り切れ
  • 内容: 分散型決済プラットフォーム、ホワイトラベルSDK
  • トークンの価値: プラットフォームで決済が行われた際の手数料を受け取ることが出来る (正確には Proof-of-Stake の権利)

OmiseGo - Token Allocation

  • アロケーション
    • 65.1% => Crowdsale
    • 20% => カンパニー
    • 9.9% => チーム
    • 5% => Airdrop (ETH 保有者にバラマキ)
  • ​すでに株式で20億円以上調達済みの企業によって実施された ICO
  • 株式とトークンによる資金調達を両立している比較的珍しいケース
  • Airdrop でステークホルダーが一気に増える
    • ​プロモーション効果もあり

おまけ

(時間が有れば)

Starbase - Token Allocation

  • Early Purchaser
    • 最初期の資金調達用のボーナス枠
  • Bounty Campaign
    • マーケティング支援者向けの報酬枠
  • Founders & Early Contributors
    • 創業メンバー用の枠。MVPローンチから1年経つまでロックアップ+1年のべスティング
  • ​Company
    • ​公募増資のような仕組みで、将来再度の調達が可能な設計。その際は事前通告必須とする

3. 成功を妨げる ICO のリスク

資本政策における成功 =>

起業家と投資家が Win-Win になること

起業家

投資家

  • キャピタルゲインを得たい
  • 売上配分や割引特典により、期待以上の ROI を得たい
  • "BIG IDEA" を実現するために必要な資金を得たい
  • 投資家のネットワークやアドバイスを利用したいが、足を引っ張ってほしくはない

ICO はリスクが一杯!

リスクは未然に防ぎましょう

リスク1: 資金を集めすぎてしまうリスク

  • Crowdsale の販売額の上限値を上げ過ぎると売り切れず、上場後に価格が下落する傾向が有る
  • 需要より供給が高くなるため
  • つまりセールに参加した人が(短期的には)損をする
  • 市況と必要資金を材料に、程よい上限値を設定しましょう

リスク2: トークン購入者が一部の機関投資家に集中してしまうリスク

  • 30秒で39億円売り切った BAT など
  • 多くの取引が見込めないと思われ、上場を拒否される可能性がある
  • プリセールやホワイトリスト、一人あたりの購入額上限などで制御可能

リスク3: 政府による規制リスク

  • ICO 中止。調達金額の返金を求められることも
  • そのほか、例えば売上配当が禁止されるなど、トークンの価値を損なう可能性
  • 予測が難しいが、 国選びと、信頼できる弁護士の指導のもと行うことである程度リスクを低く出来るかもしれない

リスク4: ソフトウェアの脆弱性を点かれるリスク

  • Smart Contract 上のバグ、または Web サイトのハッキングにより、資金やトークンが流出するリスク
  • 金銭的な被害だけでなく信頼の毀損も甚大になる可能性
  • セキュリティ意識の高いエンジニアを複数名体制、及びコードの外部監査を行うことが望ましい

リスク5: 投資家による訴訟リスク

  • お金だけでなく、対応に多大な時間も要する
  • (当たり前だが)真剣にプロダクトを作ってビジネスを拡大し、投資家に還元する
  • 投資契約(Terms & Conditions)を弁護士と共に念入りに作り、それに同意した投資家にのみ販売する

まとめ

ICO

私設の暗号通貨取引所への上場

Crowdsale / Token Sale

上場前に、トークンを対価として暗号通貨建ての資金を世界の投資家から調達する仕組み

ICO するなら Win-Win に

ICO の様々なリスク

ICO とその先の成功を

成し遂げるには

強い心と正しい知識、
そして頼れるパートナーが必要

上場してからプロダクトとビジネスの構築をするケースが多い

事例から学んだトークンアロケーション

株式の起源である17世紀、貧しくも勇気のある探検家はパトロンを探し、成功率20%以下の危険な航海に向かいました。


21世紀、 ICO 起業家は世界中の数千人の投資家とサポーターから支援を得て、航海に出ます。


強い信念と正しい知識、そして頼れるパートナーがいれば ICO は大きな力を与えてくれるかも知れません。

Thank you!

CTO of Starbase

Yu Yamanaka

Sep 8th, 2017,

at ProtoStar salon #2

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