全体最適/部分最適の話

~役割へのコミット~

くまぽん (なかの)

エンジニアリング

組織論への招待

とある施策の検討例

施策内容
施策A 50万円の原資でキャンペーンを打つ。
すると500万円の売上増になる
施策B 50万円の原資でキャンペーンを打つ。
すると10%の継続利用ユーザーが増加する
施策C 50万円の原資で不満の多い機能を改善する。
すると1%の退会率が減少する

3つの施策のうちどれが最適か?

営業担当 Xさん

「施策A以外は、売上が上がらないし、効果も少ない」

マーケティング担当 Yさん

「施策Bが、ユーザ開拓を行うには一番良い」

カスタマー担当 Zさん

「日々接しているユーザの満足を作ることが、

 このアプリにとって一番大事なポイント」

コストと売上を重視した場合

施策内容 利益
施策A
50万円の原資でキャンペーンを打つ。すると500万円の売上増になる
売上500万円 - コスト50万円
= 利益 450万円
施策B
50万円の原資でキャンペーンを打つ。すると10%の継続利用ユーザーが増加する
売上(5万人+10% × 100円) -コスト50万円
= 売上 (50万円) -コスト50万円
= 利益 0円
施策C
​50万円の原資で不満の多い機能を改善する。すると1%の退会率が減少する
売上(5万人 × 1% × 100円) - コスト50万円
= 売上 (5万円) -コスト50万円
= 利益 ▲45万円

コストと売上を重視した場合

※ 5万人のユーザが月々100円ずつ売上を出してくれる前提

施策A:営業担当 Xさん

 

施策内容 利益
施策A
50万円の原資でキャンペーンを打つ。すると500万円の売上増になるだろう
売上500万円 - コスト50万円
= 利益 450万円

→ 来月の利益を作るのには適している

※ 来月の売上でプロジェクトの撤退か継続か決まるとか、

  来月資金がショートしてしまうとかであれば、最適な選択肢

顧客資産の観点

施策内容 利益
施策A
50万円の原資でキャンペーンを打つ。すると500万円の売上増になる
施策後の価値 - 施策前の価値
= 0円
施策B
50万円の原資でキャンペーンを打つ。すると10%の継続利用ユーザーが増加する
施策後の価値 - 施策前の価値
= 5.5万人 × 100円 × 1 / 0.05 - 1億円
= 1,000万円
施策C
​50万円の原資で不満の多い機能を改善する。すると1%の退会率が減少する
施策後の価値 - 施策前の価値
= 5万人 × 100円 × 1 / 0.04 - 1億円
= 2,500万円

顧客資産の観点を重視した場合

※ 顧客資産 = 単価 × (現在の顧客数 % 退会率)

※ 5万人のユーザが月々100円ずつ売上を出してくれる前提

※ 何もしなければ5%の会員が退会する前提

施策C:カスタマー担当 Zさん

 

→ 長期的には、施策Cが一番適している

施策内容 顧客資産
施策C
​50万円の原資で不満の多い機能を改善する。すると1%の退会率が減少する
施策後の価値 - 施策前の価値
= 5万人 × 100円 × 1 / 0.04 - 1億円
= 2,500万円

結論

大切なこと

  • 同じく目的をもったチームのメンバーが適材適所の言い争いを発生することはナンセンス
     
  • 全体最適に迎えるように、全体像を把握して議論することが大切
     
  • 役割へのコミットよりも、プロジェクト全体へのコミットが大切

 

※ 目指す目的は全員同じのはず

OS合宿

By shingo-nakano

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