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2018.4.21 関西日曜数学 友の会

 

高校数学・数IIの教科書の

はじめに登場する等式・・・

高校数学・数IIの教科書の

はじめに登場する等式・・・

「二項定理」

\displaystyle (1-z)^n=\sum_{r=0}^n {}_nC_r(-z)^r
(1z)n=r=0nnCr(z)r\displaystyle (1-z)^n=\sum_{r=0}^n {}_nC_r(-z)^r

二項定理(数IIの教科書)

\displaystyle (1-z)^n=\sum_{r=0}^n {}_nC_r(-z)^r
(1z)n=r=0nnCr(z)r\displaystyle (1-z)^n=\sum_{r=0}^n {}_nC_r(-z)^r

二項定理(数IIの教科書)

→指数が整数では物足りない!

\displaystyle (1-z)^{-a}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a)_n}{n!}z^n
(1z)a=n=0(a)nn!zn\displaystyle (1-z)^{-a}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a)_n}{n!}z^n

二項定理(Newton による一般化)

ここで

(a)_n
(a)n(a)_n

は Pochhammer 記号.

\displaystyle (1-z)^{-a}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a)_n}{n!}z^n
(1z)a=n=0(a)nn!zn\displaystyle (1-z)^{-a}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a)_n}{n!}z^n

二項定理(Newton による一般化)

ここで

(a)_n
(a)n(a)_n

は Pochhammer 記号.

Point:

二項係数が Pochhammer 記号で

書けていること!

二項定理(q-類似)

\displaystyle\frac{(az;q_1)_{\infty}}{(z;q_1)_{\infty}}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a;q_1)_n}{(q_1;q_1)_n}z^n
(az;q1)(z;q1)=n=0(a;q1)n(q1;q1)nzn\displaystyle\frac{(az;q_1)_{\infty}}{(z;q_1)_{\infty}}=\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(a;q_1)_n}{(q_1;q_1)_n}z^n

とすれば Newton の二項定理に一致.

q_1\rightarrow{1}
q11q_1\rightarrow{1}

q-二項定理から何が得られるか?

q-二項定理から何が得られるか?

・Jacobi 三重積 → テータ関数など, 保型形式との関係

q-二項定理から何が得られるか?

・Jacobi 三重積 → テータ関数など, 保型形式との関係

・Ramanujan の和公式→より一般的な q-超幾何級数の表示

q-二項定理から何が得られるか?

・Jacobi 三重積 → テータ関数など, 保型形式との関係

・Ramanujan の和公式→より一般的な q-超幾何級数の表示

・q-サインとq-ガンマの関係式→いくつかのテータの特殊値

q-二項定理から何が得られるか?

・Jacobi 三重積 → テータ関数など, 保型形式との関係

・Ramanujan の和公式→より一般的な q-超幾何級数の表示

・q-サインとq-ガンマの関係式→いくつかのテータの特殊値

楕円曲線の虚数乗法にも関連!

q-二項定理から何が得られるか?

・Jacobi 三重積 → テータ関数など, 保型形式との関係

・Ramanujan の和公式→より一般的な q-超幾何級数の表示

・q-サインとq-ガンマの関係式→いくつかのテータの特殊値

楕円曲線の虚数乗法にも関連!

アフィン Lie 環の表現論にも関連!

以上の二項定理たちを通して重要なこと:

「和=積の形である」

 

以上の二項定理たちを通して重要なこと:

「和=積の形である」

「和の方は超幾何級数で書ける」

q-二項定理からもさらに

一般化が存在:

q-二項定理からもさらに

一般化が存在:

・q-Saalschütz の和公式

\displaystyle {_3\phi_2}\left[\begin{matrix}a,b,q^{-n}\\c,\frac{ab}{c}q^{-n+1}\end{matrix};q,q\right]=\frac{(\frac{c}{a};q)_n(\frac{c}{b};q)_n}{(\frac{c}{ab};q)_n(c;q)_n}
3ϕ2[a,b,qnc,abcqn+1;q,q]=(ca;q)n(cb;q)n(cab;q)n(c;q)n\displaystyle {_3\phi_2}\left[\begin{matrix}a,b,q^{-n}\\c,\frac{ab}{c}q^{-n+1}\end{matrix};q,q\right]=\frac{(\frac{c}{a};q)_n(\frac{c}{b};q)_n}{(\frac{c}{ab};q)_n(c;q)_n}

・Heine の和公式(q-Gauss の超幾何定理)

{_2\phi_1}\left[\begin{matrix}a,b\\c\end{matrix};q,\frac{c}{ab}\right]=\frac{(\frac{c}{a};q)_{\infty}(\frac{c}{b};q)_{\infty}}{(\frac{c}{ab};q)_{\infty}(c;q)_{\infty}}
2ϕ1[a,bc;q,cab]=(ca;q)(cb;q)(cab;q)(c;q){_2\phi_1}\left[\begin{matrix}a,b\\c\end{matrix};q,\frac{c}{ab}\right]=\frac{(\frac{c}{a};q)_{\infty}(\frac{c}{b};q)_{\infty}}{(\frac{c}{ab};q)_{\infty}(c;q)_{\infty}}

二項定理たちはすべて

を使って書ける.

(q-)Pochhammer 記号

q-多重ガンマ関数を導入する.

q-多重ガンマ関数を導入する.

●定義は面倒

\displaystyle\zeta_r(s,w;\omega):=\sum_{n_1,\cdots,n_r\geq{0}} \left(w+\sum_{i=1}^r n_i\omega_i\right)^{-s}
ζr(s,w;ω):=n1,,nr0(w+i=1rniωi)s\displaystyle\zeta_r(s,w;\omega):=\sum_{n_1,\cdots,n_r\geq{0}} \left(w+\sum_{i=1}^r n_i\omega_i\right)^{-s}
\displaystyle\Gamma_r(w;\omega):=\exp\left(\left.\frac{\partial}{\partial s}\zeta_r(s,w;\omega)\right|_{s=0}\right)
Γr(w;ω):=exp(sζr(s,w;ω)s=0)\displaystyle\Gamma_r(w;\omega):=\exp\left(\left.\frac{\partial}{\partial s}\zeta_r(s,w;\omega)\right|_{s=0}\right)
\displaystyle\Gamma_r^{\exp(-2\pi i/\tau')}(w;\omega):=\frac{\Gamma_{r+1}(w;(\omega,\tau'))\Gamma_{r+1}(w;(\omega,-\tau'))}{\Gamma_r(w;\omega)}
Γrexp(2πi/τ)(w;ω):=Γr+1(w;(ω,τ))Γr+1(w;(ω,τ))Γr(w;ω)\displaystyle\Gamma_r^{\exp(-2\pi i/\tau')}(w;\omega):=\frac{\Gamma_{r+1}(w;(\omega,\tau'))\Gamma_{r+1}(w;(\omega,-\tau'))}{\Gamma_r(w;\omega)}

q-多重ガンマ関数を導入する.

重要な定理:

\displaystyle\Gamma_r^q(w;\omega)=(q^w;q^{\omega_1},\cdots,q^{\omega_r})_{\infty}^{-1}
Γrq(w;ω)=(qw;qω1,,qωr)1\displaystyle\Gamma_r^q(w;\omega)=(q^w;q^{\omega_1},\cdots,q^{\omega_r})_{\infty}^{-1}

右辺は Appell の O 関数と呼ばれる.

     のとき通常の q-Pochhammer に一致

r=1
r=1r=1

自然な疑問:

「各種二項定理の q-Pochhammer のところを

q-多重ガンマでおきかえて同様のことを示せば大幅な一般化ができるのでは?」

自然な疑問:

「各種二項定理の q-Pochhammer のところを

q-多重ガンマでおきかえて同様のことを示せば大幅な一般化ができるのでは?」

→即ち「q-二項定理(やその派生)の多重化」

まだ ''自然な疑問" の解決はしていない.

(文献も見つからず, やっている人もあまりいなさそう)

まだ ''自然な疑問" の解決はしていない.

(文献も見つからず, やっている人もあまりいなさそう)

→q-多重ガンマの性質からアプローチしていきたい.

(通常のガンマ関数と同様に)成り立つこと

・N倍角の公式

・相反公式(→q-多重三角関数)

・周期性

(通常のガンマ関数と同様に)成り立つこと

・N倍角の公式

・相反公式(→q-多重三角関数)

・周期性

成り立つかわからないこと

・Hankel 積分表示

・Stirling の公式(qがない場合は証明済み)

多重ガンマ独特の性質.

・原点での留数が多変数絶対保型形式になる.(絶対数学において多重ガンマが頻出するのはこのため)

多重ガンマ独特の性質.

・原点での留数が絶対保型形式になる.

(絶対数学において多重ガンマが頻出するのはこのため)

・q-二重ガンマの周期性から Ramanujan のデルタ関数の保型性が示せる.

・多重ガンマのいくつかの値の積から代数体の最大 Abel 拡大体を構成可能かもしれない(新谷の予想)

→Kronecker の青春の夢.

多重ガンマ独特の性質.

・Riemann 面のゼータ(Selberg ゼータ)のガンマ因子の本質的部分となる

→Selberg ゼータは 「絶対ゼータ関数」の一種とみなせる.

多重ガンマ独特の性質.

・Riemann 面のゼータ(Selberg ゼータ)のガンマ因子の本質的部分となる

→Selberg ゼータは 「絶対ゼータ関数」の一種とみなせる.

 

 

→仮想表現(l 進 Galois 表現の一種の一般化のようなもの)のゼータを絶対ゼータとみなすことができれば,

Selberg ゼータと表現のゼータが同じ枠に入る

多重ガンマ独特の性質.

→先程の絶対保型形式からゼータを構成し, 絶対ゼータとしての一致を証明できれば

''超 Langlands 対応" が示される.

多重ガンマ独特の性質.

→先程の絶対保型形式からゼータを構成し, 絶対ゼータとしての一致を証明できれば

''超 Langlands 対応" が示される.

ここから得られる系.

 

・Fermat の最終定理

・佐藤-Tate 予想

・Artin 予想

・一般位数の絶対極限公式(とくに, BSD予想)

・Riemann 予想

多重ガンマ独特の性質.

→先程の絶対保型形式からゼータを構成し, 絶対ゼータとしての一致を証明できれば

''超 Langlands 対応" が示される.

 

 

 

 

 

・一般位数の絶対極限公式(とくに, BSD予想)

・Riemann 予想

懸賞問題を一気に二つ撃破可能!

(1問 100万ドル)

~というわけで~

皆さんも是非多重ガンマをやって

200万ドル(≒2億円)いただきましょう!

~というわけで~

皆さんも是非多重ガンマをやって

200万ドル(≒2億円)いただきましょう!

Thank U 4 Listening!

When Gamma Cry

By they_dont_care_about_us

When Gamma Cry

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